1.90%膵切除を行ったラットにポリ(ADP-リボ-ス)合成酵素阻害剤である3-3アミノベンザマイド(AB)を0.1g/kg連日腹腔内投与し、糖尿病発症の抑制効果とその機構を検討した。生食のみを投与したラットは術後90日目に82%に糖尿病が発症したのに対し、ABを投与したラットではその発症率が27%と低下した。ABを投与したラットでは残存率のラ氏島は著明に肥大し、B細胞の体積は3.5倍にまで増生していた。3Hチミジンのオ-トラジオグラフィ-ではB細胞の標識指数はAB投与による影響を受けず、術後3、5日目に3%前後の高値を示し以後徐々に低下した。以上よりABは膵切除後に増生したB細胞の機能を保持することにより膵大量切除後の糖尿病発症を抑制するものと考えられた。 2.90%膵切除ラットに対しポリ(AD-リボ-ス)合成酵素阻害剤である3-アミノベンザマイド(AB)を0.1g/kg連日腹腔内投与しB細胞再生効果についてオ-トラジオグラフィ-およびstathmokinetic studyにより検討した。生食のみを投与したラットでは術後30日目のラ島は高度に萎縮し、細胞減少を認めたが、ABを投与したラットではラ島は肥大し、B細胞の過形成を認めた。オ-トラジオグラフィ-およびstathmokinetic studyの結果、ABを投与した群でB細胞のlabeling indexおよびmitotic indexの増加を認めた。以上より、ポリ(ADP-リボ-ス)合成酵素阻害剤は、大量切除後の残存B細胞に対して増殖促進効果があると考えられた。
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