研究概要 |
1.臨床:肝切89例中肝不全は17例に発生した. 肝不全は術中術後の大量出欠(9例), 縫合不全(4例)と肝切除自身(過大浸襲4例)を契機に発生し多臓器不全の1つとして出現した. 肝切後の血中エンドトキシンは術後1日目をピークに22-160pg/mlまで上昇し以後現象した. 肝不線のうち術後大量出血の1例は出血と共に再上昇し血過大浸襲の1例は術直後の高値が持続した. 術直後の血中オプソニン因子(CH_<50>, 血漿フィブロネクチン)及び貧食指数K値の低下は, 肝不全群に著明で, その後の回復も肝不全群ではみられなかった. そこで免疫賦活剤であるOK2_<432>を1例に術後投与したが現在のところ著明な免疫能の改善は得られなかった. 今後免疫賦活剤投与の臨床経験を更に増やしたい. 2.実験:エンドトキシンによる肝細胞障害作用をみるため以下の実験を行った. Seglenの方法に準じて0.05%コラゲナーゼによる灌流方法で肝細胞を分離, Einesisらの方法に準じて0.2%プロナーゼEを用いてKupffer細胞を分離した. 分離肝細胞を24時間培養後8倍のKupffer細胞を加え共同培養とし, その24時間後にエンドトキシン(20ug/ml)を加え, H^3-leucineの取り込みを共同培養群, 肝細胞単独群, Kupffer細胞単独群でカウントし, 肝細胞の共同群と単独群の蛋白合成を比較した. エンドトキシンの肝細胞障害(蛋白合成障害)は共同培養することにより増強された. 即ちエンドトキシンは, Krpffer細胞より肝細胞障害因子を分泌させることが示唆された. 今後肝細胞障害因子の解明と治療法につき研究したい.
|