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1988 年度 実績報告書

ヒト消化器癌における細胞動態に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 61570644
研究機関浜松医科大学

研究代表者

馬場 正三  浜松医科大学, 医学部, 助教授 (40107818)

研究分担者 水谷 謙二  浜松医科大学, 医学部, 助手 (40144092)
森岡 暁  浜松医科大学, 医学部, 助手 (80135269)
小里 俊幸  浜松医科大学, 医学部, 医員
川上 和彦  浜松医科大学, 医学部, 医員 (10252181)
小谷野 憲一  浜松医科大学, 医学部, 講師 (60126810)
キーワード大腸癌 / S期細胞標識 / 3H-thymidine / Brdu / 細胞動態
研究概要

ヒト消化器癌の細胞増殖特性を知る目的で、3H-thymidineによるexvivo法、およびBrdvによるexvivo・invivo法を用いて、S期細胞の標識を行った。標識を行った症例数は太陽癌74例、家族性大腸腺腫症18例、その他30例となった。大腸癌原発巣の表層のS期細胞標識率は11.0〜36.1%、平均値は24.2%であった。性別、結腸直腸別、早期癌対進行癌、リンパ節転移の有無、肝転移の有無、腹膜転移の有無で比較したがいづれも有意差を認めなかった。ただし深達度で、{m+sm+pm}群が29.5%、{ss(a_1)+s(a_2)+si(ai)}群が22.7%と、深達度の低い群で有意に高かった(p<0.01)。この原因として、深達度が低い場合は周囲組織からの影響を比較的受けずに増殖し、深達度が高くなるほど周囲組織からの抑制を強く受ける可能性が考えられた。組織学的には、高分化腺癌対中分化腺癌、リンパ管侵襲の有無、脈管侵襲の有無の比較で有意差を認めなかった。腫瘍表層の標識率の比較では、平均値で、表層22.9%、深層19.7%と、表層で高い値を示した(p<0.01)。これを組織分化度別にみると、高分化腺癌では表層23.1%、深層19.3%と表層で高い(p<0.01)のに対し、中分化腺癌では表層21.9%、深層20.5%と有意差を認められなかった。これは、増殖性が高いと考えられる中分化腺癌では深層でも影響を受けにくいが、高分化腺癌は深層で周囲組織からの増殖抑制を受けやすい可能性が考えられた。リンパ節転移巣の標識率は10.2〜31.1%、平均値22.5%であった。肝移転巣の標識率は10.3〜25.4%、平均値17.4%であった。いづれも原発巣の標識率との相関は認めなかった。腺腫内m癌に対して行ったS期細胞標識では、癌巣で25.2%、腺腫巣で14.6%、腫瘍近傍の正常粘膜で4.7%であった。S期細胞標識により、標識細胞の組織内分布の観察が可能となり、癌の増殖特性を知るうえで有用な方法であると考える。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] S.Baba: Biomat.Art.Cells and Art Org. 15(3). 655 (1987)

  • [文献書誌] S.Baba: Microcirculation. 2. 445-446 (1987)

  • [文献書誌] 森岡暁: 日本消化器病学会誌. 85(8). 1490-1500 (1988)

  • [文献書誌] S.Nakamura: Gut. 29. 997-1002 (1988)

  • [文献書誌] 小里俊幸: 日本消化器外科学会誌. 21(4). 1081-1085 (1988)

  • [文献書誌] 宮崎茂夫: 日本大腸肛門病学会誌. 41(7). 950-958 (1988)

  • [文献書誌] 森岡暁: "家族性大腸腺腫症手術後の病変、診断と経過;丹羽寛文(監)渡辺豊、金子栄蔵(編)、術後消化管の病変とその対策" 中外医学社, 6 (1988)

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公開日: 1990-03-20   更新日: 2017-04-05  

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