研究課題
一般研究(C)
ヒト消化器癌の細胞増殖特性を知る目的で【○!1】手術摘出臓器を人工血液で灌流することによりViableに保ちBrdu及びチミジンを用いS期細胞標識率を算出した。【○!2】stage Vの症例ではBrdu In-vivo標識を行い比較した。【○!3】予後の判明している手術症例のパラフィン切片を用いPloidy patternの解析を行った。標識を行った症例数は大腸癌74例、家族性大腸腺腫症18例、胃癌炎症性腸疾患など30例である。Ploidy patternの解析は大腸癌130例について行った。以下の結果より本法は、癌細胞動態の解析に役立つと結論した。成績(1)大腸癌原発巣で高分化腺癌中分化腺癌低分化腺癌粘液癌で、S期細胞を標識することに成功した。粘液癌では粘液中の浮遊癌細胞も標識されていた。(2)高分化、中分化腺癌で計測したS期細胞標識率は平均値24.2%であった。最高値は肝転移を伴った中分化Sm癌で36.1%であった。(3)胃癌、大腸高分化腺癌では腫瘍表層の方が深層より高い標識率を示す傾向が認められた。深層での増殖抑制因子の解析が必要である。(4)リンパ節転移巣、肝転移巣でもS期細胞標識は可能であり、標識率はそれぞれ22.5%、17.4%であった。(5)脈管浸潤巣の他にPerineural Invasoonが存在することが、標識により確認することができた。(6)腫瘍内癌の標識率は癌巣25.2%、腺腫巣14.6%、正常粘膜4.7%であった。(7)制癌剤有効症例に於て癌細胞とリンパ球の相互関係をS期細胞標識の面から検討出来ることが明らかにされた。(8)DNA Ploidy patternの解析からAneuploid群の予後はDiploid群に比してわるいという結果を得た。(9)絨毛腺腫の癌リスクの問題をS期細胞の分布より検討出来た。
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