研究概要 |
抗体を用いた画像診断において重要な点は、抗体の有する特異性にあるがわれわれの作製した抗CEAモノクローナル抗体は、免疫組識学的方法により検索した結果、20例以上の大腸癌症例と全例反応し、正常大腸組識とは反応を示さなかった。また他の多くの癌と反応しなかったが汗腺と反応した。全体として腫瘍特異性は高く画像診断に有効と考えられる。また胃癌を免疫原として作製したGC302は、分子量40Kであり、Koplowskiらの17-1Aと特異性が極めて類似していた。17-1Aは現在まで画像診断に広く用いられるため、GC302も有用性が示唆される。これら両抗体の腹水中のVirus感染はないことが確認できたため、ヒトへの使用が可能と考えられた。ヒトへの投与にあたっては、一般のRIAの標識と異なり、抗体量も放射線量もmg,mCi単位と大量であるため、有効な標識率をつかむ基礎実験、および標識法としてIodogen法,クロラミンT法などを検討した。現在まで抗CEA抗体を5例の大腸癌肝転移症例に投与し、そのうち2例に抗体の集積をみた。局所再発例1例においては、膀胱との重なりのためよい画像が得られず、今后さらに検討したい。ヒトへの投与はヌードマウス移植下腫瘍の造影と異なり、1mCi以上投与することが望まれるので、現在まで造影されなかった症例については、抗体量、放射線量が不十分であったと考えられる。現在、抗体の F(ab)分画の作製を行い、抗体の集積率の向上につき、ヌードマウス移殖下腫瘍への投与と、オートラジオグラフィーを用いて観察しつゝある。F(ab)'により集積率が高く、かつ早まることが確認できれば、半減期の短かい【^(123)I】を用いることができ、より安全性、簡易性が保障されるものと考えられる。
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