研究概要 |
当教室において作製したCEAに対するモノクローナル抗体は, 大腸癌に対して高い特異性を示しており, これを用いて昭和61年度には, ヒト大腸癌移植ヌードマウス及び大腸癌肝転移症例の画像診断を試み成功することができた. 昭和62年度は, 画像診断におけるモノクローナル抗体CEA102の腫瘍への集積率の向上と, 致達時間の短縮化をはかるため, 同抗体のペプシン処理によるF(ab)′_2fragmentを作製し, その純度および抗体価を確認し, wholeCEA抗体との比較検討を試みた. クロラミンT法にて^<125>Iを標識したwholeCEA102, F(ab)′_2framentをBalb/Cマウス, ならびにヒト大腸癌移植ヌードマウスの腹腔内投与后, 経日的にマウスをと殺し, 血液, 各組織, 腫瘍内放射活性を測定したところ, 血液はwholeCEA102で5日后, F(ab′)_2fragmentでは3日目に上限を示し, 腫瘍・血液比はwholeCEA102では5日目に1.19となり, F(ab′)_2fragmentでは3日目に1.48となった. また腫瘍・組織比も, wholeCEA102と比べ, F(ab′)_2fragmentではより短期間に上昇を示した. 以上より, F(ab′)_2fragmentを用いることにより, 腫瘍の集積比を高め, より短期間に画像診断が行いうることが判明した. 臨床応用では, 直腸癌再発例に, クロラミンT法にて^<131>Iで標識したwholeCEA102を経静脈性に点滴投与し, 画像診断を試み, 従来のCTでは術后変化が加わり骨盤内の読影が困難であるのに比べ, 抗原・抗体反応という腫瘍特異的反応を応用しているため, 質的診断の有用性が評価された. さらに, F(ab)′_2fragmentを用いることにより, ^<123>I, ^<111>Inにて標識し, EmissionCTを導入することを試みる等行えば, より臨床に有用な診断法となると考えられる. なお胃癌に関しては, 大腸癌における基礎的検討をまって行う予定である.
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