研究課題/領域番号 |
61570646
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
鈴木 宏志 三重大, 医学部, 教授 (20004632)
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研究分担者 |
本泉 誠 三重大学, 医学部附属病院, 助手 (30144265)
松本 好市 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (80024694)
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キーワード | 大腸癌 / フローサイトメトリー / リンパ節転移 |
研究概要 |
研究期間内に50例の大腸癌切除標本より新鮮材料を採取し、フローサイトメトリーによる細胞核DNA量の測定、病理組織学的検討を行い、えられたデーターをコンピューターに入力することが出来た。 フローサイトメトリーによる細胞核DNA量測定の結果では、腫瘍細胞の【G_0】・【G_1】ピークが2C付近にあり、diploidと判定されたものが20例、【G_0】・【G_1】ピークが2個以上みとめられ、あるいは【G_0】・【G_1】ピークが2.2C以上または1.8C以下でaneuploidと判定されたものが15例あり、それら以外でnear-diploidと判定されたものが15例であった。DNAヒストグラムから算出したS・【G_2】M期細胞比率は30%またはそれ以下のものが15例、30%以上のものが22例であった。 フローサイトメトリーの結果と病理組織学的検討結果とくにリンパ節転移、リンパ管侵襲の関係では、腫瘍細胞のploidyと病期あるいはリンパ節転移との間には直接的な関係をみいだしえなかった。これに対してS・【G_2】M期細胞比率が30%を越える22例は例外なくリンパ管侵襲をみとめ、そのうち17例ではリンパ節転移陽性であった。 以上の結果からフローサイトメトリーによって知りえたパラメーターの中ではploidyよりもS・【G_2】M期細胞比率が、大腸癌の予後因子として重要なリンパ管侵襲、リンパ節転移に密接なかかわりをもつことが示唆されたが、対象の転帰など、研究期間中に決定しえない項目もあるので、多変量解析を行うにはいたっておらず、研究を続行中である。
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