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1986 年度 実績報告書

肝切除限界の拡大に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 61570647
研究機関三重大学

研究代表者

野口 孝  三重大, 医学部, 講師 (40144258)

研究分担者 伊佐地 秀司  三重大学, 附属病院, 助手 (70176121)
キーワード残存肝機能障害 / free radical / Coenzyme【Q_(10)】 / 過酸化脂質 / 門脈枝結紮 / 二期的肝切除 / 長期生存 / 肝血流量
研究概要

犬を用い、初年度は(1)拡大肝切除後残存肝機能障害の中心的役割を担うfree radical(過酸化脂質)をCoenzyme【Q_(10)】を用いて抑制し、あるいは(2)拡大肝切除領域の門脈枝を予め結紮して二期的に当該領域を切除し、その病態や生存率を検討した。
1.拡大肝切除に及ぼすCo【Q_(10)】投与の効果:1).生存率:従来長期生存が困難とされてきた84%領域の拡大肝切除にCo【Q_(10)】を投与すると4週以上の生存率を2倍以上に向上し、肝不全の発生も著しく低率となった。2).残存肝機能障害と過酸化脂質:Co【Q_(10)】投与群は84%肝切除を行っても正常肝70%以下の肝切除群と同様残存肝機能障害は僅かで4週後には正常値に回復したのに対し、Co【Q_(10)】非投与の84%肝切除群では術後早期から高度の肝障害を示し、かつ4週以上生存したものでさえもその回復は著しく遷延し、肝再生は不良であった。肝組織中並びに血漿中過酸化脂質はCo【Q_(10)】非投与の84%肝切除では術後早期より高値を示し、これはまた肝機能の異常と有意に相関したが、Co【Q_(10)】投与群では過酸化脂質の上昇は軽度で術後7日目で正常化し、さらにこれらの変化は犠牲剖検時の肝の組織学的所見と一致していた。
2.門脈枝結紮後二期的拡大肝切除:正常肝84%領域の門脈枝を予め結紮しその後4週目に二期的にこの領域を切除すると、4週以上の生存率は66.7%を示し、一期的84%肝切除の4週以上生存率26.3%を著しく向上させた。すなわち、門脈枝結紮により非結紮葉は良好な肝血流量を示して肥大し、肝機能予備力も良好となり、二期的肝切除後の残存肝機能障害は極めて軽度であった。
以上より、80%以上の肝の拡大切除後の長期生存は著しく困難であるが、free radical scavengerであるCo【Q_(10)】投与や門脈枝結紮後の二期的肝切除などにより、機能的肝切除限界の拡大が可能となった。今後さらに硬変肝についても検討する所存である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 野口孝: 外科. 48. 328-334 (1986)

  • [文献書誌] 水本龍二: "「肝の外科ー肝切除を中心に」 二期的肝切除:門脈枝・肝動脈結紮後肝切除" 医学教育出版社, (1987)

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公開日: 1988-11-09   更新日: 2016-04-21  

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