研究概要 |
膵癌由来PCAA(PCAAp)に対するモノクローナル抗体を作製した. その内2株は大腸粘膜との反応性がよわく, 膵癌に特異性が高いと考えられた. これらは免疫組織学的に膵の高分化腺癌の細胞質ならびに腺腔内の粘液との反応が見られた. 酵素免疫測定法による血中PCAApの測定法をあらたに開発した. 健常人32例の測定結果より正常上限値を2.06μg/mlと定め, 種々の癌, 非癌疾患患者の測定を行った. その結果, 膵癌患者の72%(23/32), 胆道癌の65%(13/20), 肝癌の60%(21/35)に血中PCAApの上昇が見られた. また, 肝, 胆道系良性疾患患者では10%(6/60)が陽性であった. 更に, 癌患者60例について血中PCAAp, CA19-9とCEAの同時測定を行ったが, これらの間に相関関係は全く見られなかった. ヒト胎児膵に対するモノクローナル抗体EP-1, FP-2とFP-3はそれぞれ導管, 腺房, 島細胞に特異的に反応する抗体である. FP-1は膵癌組織と23例中16例(69.6%)と高率に反応し, そのエピトープはペプタイドと考えられた. FP-2は分子量5万の膵液中に存在する物質の糖鎖に認識していた. FP-3はAPUD系腫瘍(甲状腺髄様癌, カルチノイド, 副腎褐色細胞腫など)と幅広く反応を示したが, その染色パターンから22種類の既知のホルモンや糖蛋白とは異なる物質であると考えられた.
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