研究課題/領域番号 |
61570651
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
門田 卓士 阪大, 医学部, 助手 (20174477)
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研究分担者 |
森本 秀起 大阪大学, 医学部附属病院(外科学), 医員
奥田 博 大阪大学, 医学部(外科学), 助手 (40028577)
島野 高志 大阪大学, 医学部(外科学), 助手 (80144476)
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キーワード | HISTO-IN SITU HYBRIDIZATION / mRNA / 大腸癌 / 大腸前癌病変 / 転写活性 / スルホン化DNAプローブ / 癌遺伝子 |
研究概要 |
CEAに対するモノクローナル抗体および腸粘液抗原(IMA)、胃粘液抗原(GMA)に対する特異抗血清をもちいた免疫組織化学により、これまでに胎児型上皮よりなる大腸癌30例と大腸腺腫20例を収集した。この間に、ヒト唾液腺型アミラーゼ遺伝子のcDNAを用いたmRNA-DNA HISTO-IN SITU HYBRIDIZATION法の予備実験を繰り返し、本法に適したprobeの長さ(100-800base)を決定した。この結果を踏まえて、大腸癌20例と大腸腺腫10例についてv-Ha-ras(500base)およびv-myc(600base)のスルホン化DNAprobeをもちいたHISTO-IN SITU HYBRIDIZATIONを行なったところ、大腸癌20例中5例にras、7例にmyc遺伝子の転写活性が亢進していることが見い出された。しかし、大腸腺腫においてはこれらの癌遺伝子の転写活性亢進はみられなかった。また、これらの組織から抽出したtotal RNAをnitrocellulose膜に固定してdot blot analysisを行なったところ、HITO-IN SITUの結果とほぼ一致することが分かった。そこで、この転写活性が正常粘膜と較べてどの程度亢進しているかを見るために、うち4例についてras遺伝子をprobeとしたNorthern blot analysisを行なったところ、大腸癌組織では正常の数倍から約10倍程度の転写亢進が起こっていることが明かとなった。一方、HISTO-IN SITU HYBRIDIZATIONでは陽性所見が得られなかった大腸腺腫のうち1例において、Northern blot analysisでrasの転写亢進がおこっている可能性が示唆された。胎児型上皮の培養においては、コラーゲンメッシュ上に固定して培養することにより、またメジウムに各種の成長因子を添加するなどの工夫によって、良性の腺腫であっても約3ケ月間の培養が可能となった。しかし、この培養腺腫細胞は増殖力が弱く、transform実験に供するにはまだ細胞数として不十分であるため、さらに培養条件の改良を要すると考えている。
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