研究概要 |
Ehrlish腹水癌細胞に対し, 温熱及びMMCを併用した温熱がその細胞動態および細胞形態に及ぼす影響につき, フローサイトメトリーと光顕を用いて観察した. さらに温熱単独あるいはMMCを併用した温熱を施したEhrlish腹水癌細胞の再移植試験により, 細胞障害効果についても検討した. その結果 1.41°C以上の加温単独により, G_2M期および16C領域に細胞の蓄積がみられ, その程度は温度の上昇に比例し増大した. しかし120時間後には回復する傾向にあった. 2.MMC併用加温群において, G_2M期への細胞蓄積は37°C+MMC群, 43°C+MMC群共に高度であったが, 16C領域への蓄積は37°C+MMC群は軽度で, 43°C+MMC群では高度であった. 3.加温単群およびMMC併用加温群において, 加温直後より核形不整細胞, 24時間後より核内構造不整な細胞, 多核巨細胞, 巨細胞, 核小体の腫大, 不整形化した細胞の出現が増加した. これらの変化を伴った細胞の出現率は温度の上昇に伴って増大した. 4.MMC併用加温群で特徴的に増加した巨細胞は, ヒストグラム上G_2M期に蓄積した細胞群であると思われた. 5.加温単独群において, 特徴的に出現した多核巨細胞は, ヒストグラム上16C領域に増加した細胞群であると思われた. 6.加温単独あるいはMMC併用加温で処理したEhrlish細胞を移植したマウスの平均生存日数は, 43°C加温単独の場合延長傾向が認められ, 43°C+MMCでは有意差をもって延長していた.
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