研究分担者 |
尾野 光市 和歌山県立医大, 外科学, 助手
植阪 和修 和歌山県立医大, 外科学, 助手
河野 暢之 和歌山県立医大, 外科学, 助教授 (20073752)
勝見 正治 和歌山県立医大, 外科学, 教授 (00073750)
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研究概要 |
ウイスター系雄性ラットを用い、4/6〜5/6腎切除術を施行した腎障害群を腎障害の程度により3群に分けた。1.【R_1】群…軽度腎障害(9頭)。2.【R_2】群…中等度腎障害(8頭)。3.【R_3】群…重度腎障害(4頭)。これにC群…対照(9頭)を加えた4群で以下の項目について検討した。 1.血清ガストリン値…RIA法(PEG法)。2,血清セクレチン値…RIA法(2抗体法)。3.胃,十二指腸の粘膜内PG【E_2】量…稲川,荒川らによる抽出法とRIA。4.胃粘膜障害の程度…HE染色後、光顕的に観察し判定した。 その結果、1.【R_2】群の血清ガストリン値,血清セクレチン値は、C群に比し有意に高値であった(P<0.005)。2.幽門部では、【R_1】,【R_2】,【R_3】群の粘膜内PG【E_2】量は、C群に比し有意に低値であった(P<0.01)。胃体部,十二指腸では、【R_2】,【R_3】群の粘膜内PG【E_2】量は、C群に比し有意に低値であった。(P<0.05)。さらに各部位ともPG【E_2】量と血清尿素窒素値に負の相関を認めた。3.【R_2】群の胃粘膜障害の程度はC群に比し有意に高値であった(P<0.05)。さらに胃粘膜障害の程度と胃体部PG【E_2】量に負の相関を認めた。 以上のことより腎不全ラットにおいて、胃粘膜内PG【E_2】量は、腎障害時における胃粘膜障害に関与する1因子であることが示唆された。 62年度は、腎不全下胃粘膜障害に対する治療に関して、同様の腎不全ラットを用いて、PG【E_2】とソルコセリルの投与効果,迷走神経切離術の効果について検討する予定である。 なお現在までの要旨は、第27回日本消化器外科学会総会,第3回和歌山消化性潰瘍研究会において発表した。
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