研究分担者 |
桜井 洋一 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60170651)
大石 崇 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80168856)
原 彰男 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70173060)
菅野 康吉 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00171124)
寺本 龍生 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00146713)
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研究概要 |
単クローン抗体NCC-ST-439を用いたサンドウィッチRIAを開発し、血清中に出現するNCC-ST-439抗原の定量を行った。アッセイ法はポリスチレンビーズを固相とする前方サンドウィッチ法である。サンドウィッチプレートの各穴に測定用緩衝液200μmと標準抗原液(0〜200units/ml)および検体ヒト血清を20μlづつ分注する。各穴にNCC-ST-439固相化ビーズを1個づつ加え、25℃で3時間反応させる。つぎに各穴の反応液を吸引し、脱イオン水にて3回洗浄後、【I^(125)】標識NCC-ST-439抗体(約150,000cpm)を200μlづつ分注し、再度25℃で3時間反応させ、前回と同じく吸引洗浄後、ビーズを試験管に移し、ガンマーカウンターで放射活性を測定する。 健常成人94例の血清中NCC-ST-439抗原量は平均6.11±3.41 units/mlであり、年齢性別による比較では、各年代の血清中NCC-ST-439抗原濃度は、男性では平均5 units/ml前後と低値であったのに対して、女性では20代で平均8.76 units/mlと最も高値を示し、以下10代>30代>40代>50代の順で低値となった。12 units/mlをカットオフ値とすると、悪性疾患135例中45例33.3%が陽性となった。比較的高い陽性率を示したものとして膵癌58.3%,大腸癌再発58.3%,乳癌再発50.0%が挙げられる。その他食道,胃,肝臓,胆管,胆嚢等の癌でも約20〜40%前後の陽性例が認められた。また胃癌においては極めて高値を示す症例が散発的に認められるものの、陽性率は術前、再発ともに30%前後であった。肝炎,肝硬変,胆石症等の良性疾患についての測定では5/95例5.3%が陽性となったが、いずれも血清中濃度は低く、20 units/ml以上の高値を示したものは1例もない。今後はさらに多数の症例を対象として測定を行い、特に治療効果の判定、再発の予知等についてprospective studyを行い、NCC-ST-439抗原の腫瘍マーカーとしての臨床的意義を明らかにする予定である。
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