研究分担者 |
谷口 英樹 長崎大学, 医学部附属病院, 医員
仲野 祐輔 長崎大学, 医学部附属病院, 医員
伊藤 重彦 長崎大学, 医学部附属病院, 医員
綾部 公懿 長崎大学, 医学部附属病院, 講師 (60128147)
富田 正雄 長崎大学, 医学部, 教授 (70039808)
ITOH Shigehiko First department of surgery, Nagasaki University school of medicine
NAKANO Yusuke First department of surgery, Nagasaki University school of medicine
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研究概要 |
〈昭和61年度〉犬を用いて自家及び同種左肺移植を行い、Cyclospoline A(CsA),Azathioprine(AZA)を投与して移植肺の肺胞洗浄液中の肺胞マクロファージ(BALF-Mφ)のLatexbeeze貪食能、RNA量をFACSIVを用いたFlow cytometry法にて解析した。その結果AZA投与下における同種肺移植の場合、BALF-Mφ中のRNA量(R-I)は拒絶肺で(2.86±0.58)と正常肺の(0.18±0.12)に比し高値を示し拒絶反応の診断に有用であるが、CsA投与下では拒絶反応の有無に関わらず正常値を示し診断の指標とはならなかった。またBALF-MφのLatex beeze貪食能は対照群と比して差を認めず拒絶反応の診断には有用とは思われなかった。〈昭和62年度〉移植肺の肺胞洗浄液(BALF)中のMφ,リンパ球(Ly)、宿主の末血、腸間膜リンパ節、脾臓の単球、リンパ球のI region associated antigen(Ia抗原)陽性細胞の発現率をORTHO社のSpectrumIII(SpIII)によるflaw cytometry法で測定した。その結果拒絶反応時のBALF中のリンパ球及びMφ、末梢血のリンパ球、脾臓組織のリンパ球においてIa抗原の陽性率は有意に上昇していた。ことにBALF-Mφ及びBALF-LyのIa陽性率は各々81.5±5.5、61.7±12.3と正常(66.9±11.3、18.5±9.7)より有意に上昇しており拒絶反応の診断に有用であった。〈昭和63年度〉移植肺のBALF中のMφ及び好中球の活性酸素産生能をSPIIIを用いて測定し、また左肺の温阻血肺モデルにおいて各種の活性酸素除去剤(GSH、SOD、アロプリノール)が肺機能にどの様な効果をもたらすかを検討した。その結果拒絶反応時には末梢血の好中球及びBALF中のMφの活性酸素産生能は上昇しており拒絶反応の診断に有用で、温阻血肺においてはGSH、SOD、アロプリノールはいずれも酸素化能に対して有用なことが示唆された。3年間で、BALFのMφ機能のうちRNA量、Ia陽性率、活性酸素産生能が拒絶反応の診断に有用であることが示された。
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