研究課題/領域番号 |
61570684
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
胸部外科学
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研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
高市 成子 国立循環器病センター研究所, 病因部, 研究員 (00093930)
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研究分担者 |
木下 正之 国立循環器病センター, 研究所・人工臓器部, 研究員 (00183301)
野田 裕幸 国立循環器病センター, 研究所・人工臓器部, 研究員 (20183551)
松田 武久 国立循環器病センター, 研究所・生体工学部, 部長 (60142189)
高野 久輝 国立循環器病センター, 研究所・人工臓器部, 部長 (60028595)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1987
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キーワード | 左心補助人工心臓 / 心筋高エネルギーリン酸 / 組織形態計測 / カテコラミン / 心筋萎縮 / 不全心 |
研究概要 |
1、心筋エルルギーバランスからみた左心補助人工心臓の効果 正常心に左心補助人工心臓を30分間駆動した第1群(m=3)では、駆動前後で筋高エネルギーリン酸濃度に変化を認められなかった。虚血心に同時に左心補助人工心臓を駆動した第2群(n=6)では、駆動(虚血作成)前後で血中カテコラミン濃度はほとんど変化せず、虚血部の高エネルギーリン酸濃度の低下も有意に低く抑えられた。虚血心に左心補助人工心臓を使用しなかった第3群(n=5)では、虚血作成30分後にカテコラミン濃度は上昇傾向にあり、高エネルギーリン酸濃度も第2群に比し有意に低下した。これらの結果より、左心補助人工心臓は、心血行力学的な効果と代謝上とがあいまって、心筋高エネルギーリン酸を温在し、梗塞範囲を縮小させる可能性のある事が示唆された。 2、長期補助人工心臓駆動が正常心筋組織形態に及ぼす影響 左心補助人工心臓を最大補助率(総拍出量のおよそ80%)で30日間駆動した群(n=2)、60%補助率で30日間(n=1)及び90日間(n=1)駆動した群において駆動後の左室心筋組織形態を、左心補助人工心臓を使用しない対照(n=4)と比較した。その結果、最大補助の群で、心筋細胞横断面績の減少、単位心筋細胞中の筋原線維及びミトコンドリアの体績密度の減少を認めた。また60%補助でも、30日間駆動では変化がなかったが、90日間駆動では同様の退行性変化を認めた。左心補助人工心臓はその補助量と補助期間によっては、左室正常心筋に退行性変化を引き起こす事が確認された。 以上、2つの実験から、左心補助人工心臓の駆動は可逆的障害に留る心筋の救済には有効であるものの、長期間の補助は正常心筋に退行性変化を引き起こす事が確認された。これらが、収縮力の回復にいかなる影響を及ぼすかは今後検討を重ねる必要がある。
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