研究概要 |
本研究は血管新生因子の分離同定することが目的である本年度はまず血管新生物質を多く含有するものと思われる生体物質を臨床症例を利用して集収した。すなわち脳原発性神経膠腫摘出標本、転移性脳腫瘍,(腎癌,黒色腫)2例、脳動静脈奇形の摘出標本を-70℃に凍結深在、一部を組織培養しその上澄を一部凍結保存した。上澄の検索は一次元電気泳動法を使用していたが不充分であり二次元電気泳動法を利用し更に渡銀法を重ねることによりその検出分離能力を向上させることに作業の大半をついやした。そしてこの方法を実際応用可能なものにした。一方アッセイシステムとしては研究費の一部で孵卵器を購入した。孵化鶏卵の半漿膜に新生した上管を画像解析装置タスを使って、量的に把握して正常像と比較する方法を現在考案中である。現在のところ平面上に血管像をシュミレーションして描き、これをTexture Assay System(TAS)のテレビ画面上に映し出しこの血管像の占める面積を求め画面全体の面積に対する比率として求める方法が比較的有効であることが判明したが、細かい血管をどのようにして画像にするか問題を残した。 同時に共同研究者として行っている実験"核磁気共鳴法を用いた中枢神経系疾患診断に関する実験的研究"においても血管の新生状態を顕微鏡的に観察した。すなわちラット脳に実験脳腫瘍Fisher433系gliomaを移植し、生存生着が確認された後MRIに関する実験を施行した後にラットをSacrifyし移植glioma周辺の血管増生の程度を検鏡した。その結果この系のgliomaは血管新生因子を多く含有する可能性が判明した。このように、in vitroでは活生物質の失活の問題もあり併せてin vivoの実験も平行して行う必要性を感じた。
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