研究概要 |
今回私達はCO_2,ヤク同軸複合照射による照射周囲組織での脳血流変化についてレーザードップラー血流計を用い計測,検討を行った。実験には体重2ないし3kgの白色家兎を使用し,頭蓋の両側前頭-頭頂部に骨窓を設け,脳表を露出した。レーザー照射後,脳表の血流両,血球量,血球速度の3つのパラメーターをレーザー微小循環血流計で照射後10分間記録した。照射部位は血流計のプローフの先端にある光検出器から2mmと10mm離れた脳表で太い血管にレーザーが直接照射されない様な場所を選び,照射時間を1秒とした。その結果照射部位から2mmという近接した場所では実際に脳血流量の増加が2〜3分後をピークにして認められ,一過性で5分後にはほぼ元の血流量に戻ることが示唆された。その際この変化は血球量の増加によってではなく血球速度の増加によることが明らかであり,又その間の全身血圧にはほとんど変化を認めなかったことは脳血流量の増加には全身血圧の増加とは異なる機序が介在しているものと思われた。照射部位から10mmの部位ではそれぞれのパラメーターについても同様の効果を認めることもあったがその影響は2mmだけ離れた部位に比べれば明らかに小さいものであり,照射局所から離れるほど脳血流量に及ぼす影響は小さくなると考えられた。今回の実験でレーザードップラー血流計を用いるとこにより脳血流を鋭敏に記録することができた。その際プローブを脳表へ当てる圧力の変化に対応する血流パラメータの人工的な変圧を防ぐためプローブを周囲残存硬膜の下に挿入することで非常に安定した値を得ることができた。結論としてレーザー照射部位の周辺組織における脳流量および血球速度の増加は非特異的,限局性で一過性のものであることが示唆された。
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