研究課題/領域番号 |
61570695
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
桑山 明夫 名大, 医学部, 講師 (70111846)
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研究分担者 |
桜井 剛 名古屋大学, 医学部, 医員
山本 直人 名古屋大学, 医学部, 医員
妹尾 久雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (40135380)
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キーワード | 下垂体腺腫 / 遺伝子発現 / Cushing病 / in situ hybridization |
研究概要 |
1. 下垂体腺腫におけるACTH遺伝子の発現を検討するためCushing病7例、Nelson症候群2例において、腺腫組識中のACTHmRNA量をCytoplasmic dot法により測定した。(尚、プローベはproopiomelanocortin exon 3部分のDNAで京都大学第2内科井村教授より提供されたものを用いた。)Cushing病及びNelson症候群ではいずれもACTHmRNAが検出された。腫瘍の大きさが大体そろっているCushing病で単位重量当たりのACTHmRNA量と血中ACTH値及びCortisol値を比較してみると、ACTHmRNA量は血中ACTH値とは全く相関がなかったが、cortisol値とは正の相関関係を示した。ACTHmRNA量と血中ACTH値が相関しないのは主に腫瘍からの、ACTHの分秘がepisodicでありACTHの合成と分泌が異なる速度で行なわれていることを反映すると考えられる。ACTHmRNA量とcortisol値が正の相関関係を示したことはCushing病の腺腫ではACTHの分泌にcortisolによるnegative feed backがかかったとはいえ、feed backがかかった恒常状態でのcortisol値を規定するのは腫瘍の自律的なACTH合成能であることを示唆すると考えられた。 2. 臨床的に非機能性下垂体腺腫と考えられる16例に対し、ACTH cDNA、PRL cDNA、GH cDNAプローベを用いて、mRNAの検出を試みた。その結果3例にPRL mRNA、1例にACTH mRNAを検出し得た。前者の3例では、PRLの酵素抗体法では腺腫組識は陰性であった。後者の1例ではACTHに関して陽性細胞が比較的疎に分布し、電顕像も合わせ、Kovacsらの言うsilent corticotroph cell adenomaのtype 2であると考えられた。 3. Old ratの自然発症の下垂体腺腫ではin situ hybridizationでPRL合成がみられ、mRNA量で示される合成能はestrogen誘発腫瘍の約1/2と思われた。電顕的にはoncocyticなsparsely granulated cellが主体であった。
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