研究概要 |
(1)頭蓋内圧亢進所管において, 血中及び髄液内のADHはともに増加している事が判明した. この事は頭蓋内圧亢進病態, 脳血管攣縮状態では視床下部の刺激により, 視床下部のADH産生細胞における分泌が亢進する事を示す. 血中ADHの増加は血清浸透圧およびナトリウムの低下をきたし, 逆に髄液中ADHの増加は髄液浸透圧及び髄液ナトリウムの上昇をもたらし, 髄液中と血中の浸透圧及びナトリウムの較差の増大が生じる. 特にクモ膜下出血における意識障害の強い例では髄液中ADHはより上昇しており, この較差の増大が浮腫の増大の一因であることを示した. (2)新鮮ラット脳よりカルシニュリンを精製し, その抗体をう作製し得た. カルシニュリンは神経細胞に特異的に存在し, 脳内で海馬・大脳基底核に著明に多く存在していた. とくに線条体におけるカルシニュリン陽性細胞の確認はこの部位の遠心性ニューロンに含まれ黒質からのドーパミン性ニューロンに存在しないことも明らかとなったが, この事はある種の脳機能とくに錐体外路系運動機能を密接に関連している事を示唆している. 一方カルシニュリンは酵素学的に微小管上に豊富に存在している事も確認された. この事は微小管調節を介して軸索流体等の神経機能に関与している事を強く示唆した. (3)脳グリコーゲン合成酵素リン酸化を介する調節機能と脳内分布を知る為に犬脳の細胞上清からグリコーゲン合成酵素を得, Ca^<2+>カルモジュリン依存性のリン酸化酵素によるリン酸化を行うと, リン酸化に伴い酸素の不活性化がみられた. 免疫組織学的にダリコーゲン合成酵素は脳内に広く存在し, ニューロン系, グリア系細胞のいづれにも認められた. 脳グリコーゲン合成酵素はCa^<2+>動員に伴って調節され, 脳内に広く分布している事が示され, グリコーゲン合成酵素が脳内グリコーゲン代謝を調節している事が示唆され, グリコーゲン合成酵素が脳内グリコーゲン代謝を調節している事が示唆された.
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