研究概要 |
生体の音響解析の歴史は極めて古く, 打・聴診は医師の一般的技術であることは言うまでもない. 骨折など整形外科領域における疾患の診断にも音響解析がおこなわれるようになってきたが, その手抜と解析方法はさまざまである. われわれは骨の打聴診とも言うべき骨伝導音検査の手抜を確立し, さまざまな応用に関して長年研究を続けている. 本年度の研究は, 昭和59年度科学研究費一般研究Bの助成以来の一貫したものであるが, 骨折の治癒過程における骨癒合強度を本法を用いて推定することを動物実験ならびに臨床例に関し行なった. また, 変形性股関節症の治療法の一つである人工股関節全置換術後の経過を本法により検〓し, 人工間接と骨との固着強度を推定する試みを継続して行なった. これらの結果, 創外固定器を用いた骨折の治療においては, 創外固定器の除去時期の判定に有用であることを知った. そして, セメントレス人工股間接の固着強度を検〓した結果では, 術直後より歩行を開始する時期の方が固着強度は低下しており, その後再び徐々に固着強度を上昇してくることを動物実験ならびに臨床例において証明した. これらの結果は, 第2回日本整形外科基礎学術集会, 第36回東日本臨床整形外科学会等に発表した. さらに昭和63年4月に第61回日本整形外科学会総会に「骨伝導音検査の臨床的応用」の演題にて発表予定である.
|