研究課題/領域番号 |
61570720
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
中村 孝文 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (90180372)
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研究分担者 |
米村 憲輔 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (50182853)
高木 克公 熊本大学, 医学部, 教授 (70040219)
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キーワード | 発癌剤 / 悪性線維性組織球腫 / 組織球様細胞 / 制癌剤 / 組織培養 / モノクローナル抗体 / 薬剤感受性 |
研究概要 |
1.実験的に発生させたラット悪性線維性組織球腫(ラットMFH)を用いて作製した担癌ラットの系において、各種抗癌剤の効果をさらに詳細に検討した。その結果、ヒト常用量より計算した換算量にてビンクリスチンは制癌効果を有したが、シスプラチンおよびサイクロフォスファミドでは効果は認めなかった。またアドリアシンでは、1日のみの投与では効果を認めないが、2日連続投与により著明な制癌効果を示した。以上の結果より、本実験腫瘍モデルは各種抗癌剤の感受性の検討のみならず、投与方法の検討についても、有用な糸であると考えられる。 2.ラットMFH試験管内培養株(親株)およびそれより単クローン株を分離し、培養系を樹立した。親株の長期継代培養にてその一成分である組織球様細胞が消失すること、また数種の単クローン株のいずれも組織球様細胞の特徴を有していないことより、MFHの主要な構成成分である組織球様細胞は真の腫瘍細胞ではない可能性が強く示唆された。 3.次に本培養株をラットに戻し移植し経時的に腫瘍の形成動態を検討した。その結果、組織球様細胞は初期には腫瘍周辺に限局しており、経時的に全体に拡がる傾向を呈した。これは腫瘍中の組織球様細胞は腫瘍に反応して動員これに正常細胞であることを示している。さらに本培養株をヌードマウスに移植し、モノクローナル抗体を用いて組織球様細胞の由来と検討した。組織学的にはラットMFHと同様の組織像を呈したが、腫瘍中の組織球様細胞はすべてマウス由来であることが確認された。以上より、本培養株がMFHの本体であることが強く示唆された。
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