研究概要 |
1.骨移植の実験 (1)同種骨移植の骨形成, 同種骨は自家骨に比して骨の生着が遅延する. 今回は骨の保存法が骨形成に如何なる影響を与えるかの基礎的検討を行なった. 自家骨に各種の保存処理を加え, 自家移植を行なって, テトラサイクリンラベリング, マイクロラジオクラフィーにより骨形成を比較した. -80°C冷凍骨, 凍結乾燥骨, 脱脂骨, 脱灰骨は新鮮自家骨に比して骨形成速度が遅延した. しかし各種処理骨間では骨形成能に大きな差はなかった. これは新鮮骨には生きた造骨細胞が含まれ, 積極的に骨形成に関与し, 一方処理骨は生細胞を含まぬため, 骨成形が低下するものと考えられる. 骨形成の様式は骨伝導が主体のようである. (2)骨移植の血行再開について. 新鮮自家骨では母床より2-3mmまでの血行再開は移植後1週目には認められ, 類骨石灰化はこれより遅れ, 3週目頃より盛んに行なわれる. また血行の進入とともに骨梁間に間葉糸細胞の増殖が認められる. 処理自家骨では血行の進入は遅れるが, 血行が再開されると類骨石灰化は遅滞なく進行する. 新鮮同種骨ではこの両者とも著しく遅れている. 2.骨移植の臨床 臨床例については, 関節形成術時に骨欠損部に補填する移植骨の生着状況を観察した. 寛骨臼底に骨釘・骨細片, 摘出骨頭を盃状にしたもの, 腸骨片を架橋したもの, の4種の骨移植術について, X線像, 骨シンチグラムを比較した. 移植骨はかなり早期に生着し, 寛骨臼関節面に骨硬化像が出現する. 荷重による力学的作用が移植骨の生着とリモデリングに関係深いものと推測された.
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