研究概要 |
鹿児島県肝属地区の根占町および大根占町の住民2095人(男性695人、女性1400人)に対し昭和62年度に行った調査で、RAテスト陽性者は89人(4.2%)、RAHAテスト陽性者は98人(4.7%)の結果を得た。PAテスト陽性或はRAHAテスト陽性の計119人に対し慢性関節リウマチを発症しているか否かのアンケート調査を行った結果、68人中4人が慢性関節リウマチであり、残りは全て健常者であることが判明した。健常者64人のうち16人に対して採血を行い、HLA抗原分析を行った。HLAの抗原分析はA,B,C,DRの4群について行った。文献的には慢性関節リウマチにはDR4が特異的に多いとされている(relative risk白人にて5.8%)。16人の分析結果では、多く認められる抗原は、A抗原では、A2 17.2%、A24 34.8%、A26 21.7%、A31 17.4%、B抗原ではB51 19.4%、Bw54 12.9%、Bw61 16.1%、C抗原ではC1 38.1%、C3 28.6%、C9 14.3%、DR抗原ではDR2 10.7%、DR4 32.1%、DRw8 14.3%、DR9 21.4%であり、DR4は特異的に見出されず、日本人一般集団の出現頻度と大きな差異はみられなかった。また、DR4以外の抗原で特異的に出現するものは認められなかった。したがって、健常者におけるRA因子陽性およびRAHA陽性の臨床的意義は慢性調節リウマチにおけるものとほぼ全く異質のものである可能性が強い。また、今回の調査では、家族の採血の協力体制が得られなかったために、ハプロタイプの分析は不可能であった。
|