研究概要 |
コントロール実験として、成熟ラットを用い、健常脛骨および遊離脛骨への血管束移植の実験を行った。健常脛骨の骨髄内に血管束を移植した場合は、2〜3週で骨髄内血管との吻合が完成し、栄養動脈からの血行を遮断しても移植血管束がその役割を果たすことにより、脛骨をLiving Boneとして移植できることが判明した。遊離脛骨に血管束を移植した場合は、移植血管束から新生血管が樹脂状に増生していく像が、マイクロアンギオグラムにおいて確認し得た。しかし、それに伴って生じる骨形成は、ハーバース管を中心としてみられたが、血管束移植10週後においても、約1/3程度が置換されたにすぎなかった。 コントロール実験の結果をふまえ、白色家兎の脛骨に伏在動静脈束を移植し、3週後に移植血管束を血管柄として脛骨を挙上して腹壁皮下に移動した。移植血管束の状態をマイクロアンギオグラムで、骨のviabilityを脱灰および非脱灰標本で観察した。 マイクロアンギオグラムにおいて、ラットの場合と同様に、移植血管束と既存骨髄内血管との間の吻合が確認し得た。また、非脱灰標本の蛍光顕微鏡下観察において、内骨膜,外骨膜,ハーバース管での骨標識物質の取り込みめ認め、新しいパターンの血管柄付骨移植のdonorを作製できた。 現在、血管束移植により作製したdonor boneを大腿骨に作製した欠損部に移植し、その骨癒合をレントゲンにて追跡している。また、遊離骨を同様に移植し、比較検討を行っている段階である。
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