研究概要 |
1.核小体直径と前角細胞直径の相関:成人頚髄3標本を用い, 頚髄前角RexedIX層内の前角細胞のと同一細胞の核小体の大きさを, それぞれ500倍および2000倍に拡大した後, particle size analyserを用いて, 肉眼的にほぼ同一の面積の円に置き換え, その直径を求め, 一定の核小体直径に対する前角細胞の直径の平均値を算出し, 両者の相関を調べた. 3標本共, 両者の関係は一次式で表され, かつその相関係数は0.98〜0.99間にあり, 極めて強い正の相関関係にあることがわかった. (前角細胞直径をY, 核小体直径をXとすると, 症例1, 男 25歳, Y=12.3X-0.003, n=69, 相関係数0.99;症例2, 男 85歳, Y=13.5X-0.007, n=104, 相関係数0.79;症例3, 男 39歳, Y=10.6X-0.007, n=78, 相関係数0.98)即ち, 頚髄前角細胞の大きさの比を求める場合, 核小体直径の比を求めればよいことが判明した. この実証により, 前年度報告した, 核小体直径の経年性histogramの変化を, 頚髄前角細胞直径の変動をみなす正当性が証明された. 頚髄前角細胞の大きさを, 細胞体の長径および短径を平均して求める方法は, 細胞体の辺縁が不明瞭であったり, 手抜が煩雑であるという欠点があるが, 核小体法では, 核小体は常にほぼ円形を呈し, その直径の計測は容易であるという利点がある. 2.動物実験:ラット頚髄前角細胞の病的条件Fにおける変化を調べることを最終目標とするが, 62年度は正中神経に対応する正常ラット頚髄前角細胞の分布の研究を試みた. 現時点ではまだ満足できる結果は得られていない. 方法として, 正中神経に直接HRPを注入する方法をとっている. ラットの正中神経は直径1mm程度と細く, 市販の注射針は太すぎて使えず, ガラス電極針を用いることにし, 現在実験中である.
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