研究概要 |
α-hANPのラット副腎遊離セルに及ぼす影響をAldosterone,Comp.B,CA産生を指標として比較検討した。さらにそれらの産生機序を解明するためcAMP,cGMP産生を測定した。遊離球状層セルおよび遊離束状層セルにおけるα-hANPの作用は著しい差を示した。 1.Aldosterone産生:球状層では【10^(-9)】〜【10^(-7)】Mα-hANP添加で抑制され、束状層では【10^(-9)】α-hANP添加で抑制,【10^(-8)】【10^(-7)】Mでは有意に増加した。 2.Comp.B産生:球状層では【10^(-8)】〜【10^(-7)】Mα-hANPで有意の抑制が認められ、束状層では【10^(-9)】α-hANPで不変,【10^(-3)】,【10^(-7)】α-hANPでは用量依存的に有意の増加が認められた。 3.NE,E,DA産生:束状層(副腎髄質も含む)において【10^(-9)】〜【10^(-7)】Mでは変化はなかった。 4.cAMP産生:球状層において【10^(-9)】,【10^(-8)】Mα-hANP添加で著明に抑制され【10^(-7)】Mでは不変であった。束状層では【10^(-9)】Mα-hANPでは不変であり、【10^(-8)】,【10^(-7)】Mでは減少傾向を示した。 5.cGMP産生:球状層,束状層において各濃度のα-hANPにより有意に促進された。その促進作用は用量依存的であった。またその促進程度は束状層でより著しかった。 cGMPと副腎皮質ステロイド合成の関係については種々議論の分かれるところであるが、今回の我々の成績は束状層においてはα-hANPによるステロイド産生作用のsecond messengerはcGMPであることを強く示唆した。しかし球状層ではcGMPの増加にも拘わらずComp.B,Aldosterone産生は抑制された。束状層におけるcGMP産生量との比較検討からcGMPがα-hANPのsecand messen-gerとして作用するためには一定のレベルが必要であると思われた。しかし球状層においては、高濃度α-hANPにより、より以上のcGMP産生増加が認められず、球状層においてはcGMPはα-hANPのsecond messengerとは成り得ないと思われた。
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