研究課題/領域番号 |
61570734
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
平澤 博之 千葉大学, 医学部, 助教授 (80114320)
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研究分担者 |
大竹 喜雄 千葉大学, 医学部, 助手 (50194189)
菅井 桂雄 千葉大学, 医学部, 講師 (10187627)
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キーワード | 急性肝不全 / 細網内皮系(RES)貧食能 / オプソニン蛋白 / 新鮮凍結血漿 / 非特異的免疫賦活剤 |
研究概要 |
昭和61年度及び62年度の動物実験により、急性肝不全ラットにおいては、細網内皮系(RES)貧食能は低下しており、RES貧食能を改善することにより救命率を改善しうるとの結果をえた。この結果をもとに、ウイルス性ないし薬物性の急性肝不全症例及び一部では肝硬変急性増悪例において、RES貧食能をリピットエマルジョン法で、クッパー細胞をふくむ肝細胞ミトコンドリア機能を動脈血中ケトン体比法で測定し、さらにオプソニン蛋白としてのC_3、フィブロネクチン及びIgGの血中濃度も測定した。まずRES貧食能は、急性肝不全症例及び肝硬変急性増悪例において、対照群と比較して有意に低下していた。そしてこれらの症例においては、動脈血中ケトン体比、C_3、フィブロネクチン濃度も低下していた。これに対し急性腎不全症例においては、RES貧食能は軽度低下しているのみであり、しかもオプソニン蛋白の低下はみられるものの動脈血中ケトン体比は低下していなかった。これらの結果をもとに急性肝不全症例4例において、血漿交換、血液吸着等の人工肝補助療法を行うとともに、オプソニン蛋白の補充を意図しての新鮮凍結血漿の連日大量投与、非特異的免疫賦活剤であるOK-432の投与を施行した。そして4例中3例を救命した。経過中動脈血中ケトン体比やオプソニン蛋白濃度の変化を測定しえた症例では、上記の治療法により、動脈血中ケトン体比の改善、C_3、C_4、フィブロネクチン血中濃度の上昇等が観察された。まだ臨床例の例数が少なく、結論を出すにはいたっていないが、これらの結果は、急性肝不全症例の病態の進展には、RES貧食能低下が関与している可能性が極めて強いこと、およびRES貧食能を賦活することは急性肝不全の治療法のひとつとして有効性を期待しうることを示唆するものである。
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