研究概要 |
まず2腎性高血圧症に中枢性カテコラミンがいかに関与するかを検討した. 2腎性高血圧動物に6-nydroxydopamine(6-OHDA)250ug/Kgをintraventrcular injectionしておくと(高血圧発症前), 高血圧の発症が阻止された. 視床下部のnorepineph-rine(NE)は高血圧動物では正常血圧動物より低レベルであったが, 橋部のNE濃度は両群ともに同レベルであった. 高血圧の慢性期には6-OHDを脳室内に投与しても高血圧は抑制されなかったし, シャム十6-OHDA群でも2K-1C十6-OHDA群でも中枢のNE濃度は不変であった. これらの成績より視床下部のNE代謝の低下が2腎性高血圧症の急性期の昇圧に重要が役割りを果していることが推測された. ついで中枢のカテコールアミン代謝がいかに昇圧に関与するのかを腎を中心として検索した. すでに前年度の検査で2腎性高血圧の高血圧維持に腸間膜動脈の血管収縮タンパク質と見做されているるnon-collagenous protein代謝の亢進が腎動脈にも見られるか否かが重要な所見であろう. 腎動脈ではnon-collagenous protein,collagen代謝亢進が高血圧動物において見られた. あらかじめ6-OHDAを投与しておくと, 高血圧の発症は急性期で抑制され, 腎動脈のnon-collagenous protein代謝も抑制された. すなわけ2腎性高血圧症では, 急性期には視床下部のNE含量が低下し, これか刺激となって腎動脈の収縮タンパク質代謝が亢進して腎動脈が収縮して血管抵抗を上昇させるため, 高血圧となるというメカニズムが推測された. このような仮説は従来, 報告されておらず, レニン・アンジオテンシン系の亢進のみでは説明つかなかった本症の病態に, 新しい考え方を導入した実験と思われる.
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