研究課題/領域番号 |
61570760
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研究機関 | 福井医科大学 |
研究代表者 |
河田 幸道 福井医大, 医学部, 教授 (00021428)
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研究分担者 |
磯松 幸成 福井医科大学, 医学部, 助手 (40159819)
村中 幸二 福井医科大学, 医学部, 助手 (80166298)
蠏本 雄右 福井医科大学, 医学部, 講師 (90108077)
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キーワード | 慢性前立腺炎 / 抗菌因子 / 亜鉛 / IgA / リゾチーム / クラミジア / ウレアプラズマ |
研究概要 |
1.前立腺炎患者をDrachらの方法で分類し、前立腺液(EPS)の抗菌因子として重要な亜鉛、IgA、リゾチームおよびpHを前立腺肥大症患者を対照として比較検討した。(1)EPSの亜鉛濃度は慢性細菌性前立腺炎(平均291μg/ml)と非細菌性前立腺炎(平均277μg/ml)がプロスタトディニア(平均585μg/ml)、コントロール(平均565μg/ml)に比べて有意に低下していた。(2)pHは慢性細菌性前立腺炎(平均7.7)、非細菌性前立腺炎(平均7.5)が他の2群に比べてアルカリ側に傾いていた。(3)IgAは慢性細菌性前立腺炎(平均37.3mg/dl)が他の3群に比べて有意に高く、同様にリゾチームも慢性細菌性前立腺炎(平均85.6μg/ml)が他群に比べて高い傾向を認めた。 2.慢性前立腺炎においてEPSのpHは高いことが示唆されたことにもとづき、原因菌として多いE.coli,P.mirabilis、E.faecalisに対する抗菌力を各種pH下におけるMICにて検討した。(1)アルカリ環境下において抗菌力の増強が認められた薬剤はマクロライド系の抗生剤、とくにerythromycinであり、元来グラム陰性桿菌に対して抗菌力を示さないerythromycinがアルカリ下では抗菌力を示し、さらにE.faecalisに対しても作用が増強されることが確認された。(2)同様の条件でST合剤では抗菌力は変化せず、テトラサイクリン系、セフェム系抗生剤ではアルカリ側でむしろ抗菌力が減弱した。キノロン系抗生剤はアルカリ環境下でも元来のすぐれた抗菌力は変化しないことが確認された。3.EPS中の抗生剤濃度をST、erythromycinについて検討し、STにおいては対血清濃度比が3以上と高い濃度が得られ、erythromycinにおいては、血清濃度とほぼ同等の濃度が得られた。4.前立腺液採取困難例を対象に3way baloom catheterを改良し、充分量のEPSを得る方法を考案した。これらの知見、成果は第74回日本泌尿器科学会総会第34回日本化学療法学会総会において発表し、さらに第75回日本泌尿器科学会総会にて発表予定である。
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