研究課題/領域番号 |
61570761
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
小川 秋実 信大, 医学部, 教授 (10009954)
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研究分担者 |
平林 直樹 信州大学, 医学部, 助手 (10143984)
仲間 三雄 信州大学, 医学部, 助手 (20155807)
和食 正久 信州大学, 医学部, 助手 (70175074)
全田 浩 信州大学, 医学部付属病院, 教授 (60135150)
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キーワード | 大環状ポリアミン / シスプラチン / 抗癌剤副作用軽減 |
研究概要 |
シスプラチンの毒性を大環状ポリアミンの同時投与で軽減しうるか否かをSD系4週令ラットで実験した。5種類の大環状ポリアミンを使用し、その投与量はシスプラチン10mg/kgに対するモル倍数で示した。 1)2.2.2-テトラミン4塩酸塩、サイクラム、および2.2.22ペンタミンは、10倍モル量静注投与で全ラットが生存したが、60倍モル量では全ラットが死亡した。2.3.2テトラミンは、10倍モル量投与で全ラットが生存したが、30倍モル量以上では全ラットが死亡した。ダイオキソサイクラムは、30倍モル量投与で全ラットが生存し、100倍モル量では全ラットが死亡した。 2)シスプラチン10mg/kg(ラット致死量)を静注投与し、引続いて100倍モル量の2.2.2-テトラミン4塩酸塩、10倍または60倍モル量のサイクラム10倍モル量の2.2.2.2-ペンタミン、あるいは10倍モル量の2.3.2-テトラミンを静注投与すると、ほぼ全ラットが死亡した。一方、シスプラチンに続いて3倍〜30倍モル量のダイオキソサイクラムを投与すると、20〜36%のラットが生存したが、用量依存性はみられなかった。 以上の結果から、5種類の大環状ポリアミンのうち4種類は、シスプラチン投与量に対する10倍モル量投与では致死性はないもののシスプラチンの毒性を阻止しえず、60倍モル量以上投与ではそれ自身の毒性でラットが致死したため、使用は不適当と思われた。一方、ダイオキソサイクラムは、一部のラットでシスプラチンの致死性を阻止しえたので、副作用軽減効果があったと孝えられた。しかし、用量依存性が明らかでなかったので、適当量を決定するには、さらに検討が必要である。
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