研究概要 |
1.尿路感染菌(保存株)のhydrophobictyの検討および菌種別の感染背景保存株(過去6年間)の検討により、留置カテーテルに関連して出現する頻度はセラチア菌60%,緑膿菌30%,腸球菌10%であった。しかし大腸菌はほとんど見られなかった。これらの中で緑膿菌と腸球菌についてのhydrophobiatyを検討すると大部分は親水性の性質を有することが判明した。 2.臨床分離株の尿路カテーテル材料に対する付着実験 (1)カンジダに関する研究:シリコンおよびラテックスに対するカンジダアルビカンス(C.albicans)の付着数をinvitroで検討すると、C.albicansは有意に多くラテックスに付着した。この機構を解析するために疎水性のCandida tropicalisを対象として疎水結合の関与を検討した。その結果カンジダとカテーテル材料との間の付着には疎水性結合の関与が大であることが判明した。 (2)緑膿菌およびセラチア菌に関する研究:シリコンおよびラテックスに対する緑膿菌およびセラチアの付着数をinvitroにて測定した。両菌種ともに時間の経過とともに付着菌数は増加したが、シリコンよりもラテックスに有意に多く付着した。またシリコン,ラテックスのいずれにおいても緑膿菌のほうが有意に多い付着菌数であった。 3.付着阻害物質添加によるinvitroでの付着実験: 付着を除去しうる薬剤として、抗菌剤,表面活性剤,キレート剤などで除去効果を検討した。その結果表面活性作用とキレート作用を併せ持つアシル化フエニルアラニンがカンジダに対して著明な除去効果を示した。また緑膿菌ではシリコンで、セラチア菌ではシリコン,ラテックスのいずれにおいてもアシル化フエニルアラニンは除去効果を有することを認めた。
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