研究概要 |
1.腎細胞癌の原発巣組織を対象にr-IFN-αのin vitro増殖抑制効果を検索しさらにr-IFN-αの臨床効果を腎細胞癌の転移症例において検討し、in vitroとin vivoの効果の相関をみた。In vitroの効果は15例で検討し得たが、r-IFN-α 100IU/ml〜100,000IU/mlの濃度において5例にr-IFN-αによる増殖抑制効果が認められた。この結果はr-IFN-αに対しても腎細胞癌は均一な感受性を示す訳ではなく、癌組織毎にかなり差のあることを示していると考えられた。これら15例中4例でin vitro増殖抑制効果と臨床効果との相関が検討できた。これら4例ではいづれもr-IFN-α 100〜1000IU/mlの低濃度でr-IFN-αに感受性が認められなかったが、臨床効果も投与後4〜8週目の判定では3例がPD、1例がNCであった。しかし、最終的には4例全例が癌死した。従って、この結果からは、in vitro増殖抑制効果と臨床効果がある程度相関したと考えられた。 2.Streptozotocin化学発癌によるマウス腎細胞癌を作成し得たので、これをin vivo可継代株として樹立した。このマウス腎細胞癌はstreptozotocin投与後60週目にその発生が組織学的に確認され、mitosisに富み一部に腺管構造に類似した所見を認めるgranular cell優位の腎細胞癌であった。皮下に継代後もこの所見は保持されていた。この可継代腫瘍を用いて、cytokineの効果をin vivo、in vitroにおいて検討した。In vivoにおいてはTNF1×10^4 1×10^3JRU5日間連日投与により平均腫瘍重量は対象群のそれぞれ29%、90%に縮少し、又それぞれの腫瘍消失率は50%、25%であった。さらにIL-2 25×10^5U5日間連日投与群では平均腫瘍重量は対象群の16%となり、腫瘍消失率も71%に達していた。In vitroにおいてはTNFとIFN-αとのそれぞれ単独及び併用効果を検討したが、併用によりそれぞれの単独効果を上まわる効果が得られた。この結果をさらにin vivo系で検討しているが、マウス腎細胞癌はこれらの良い実験系となり得ると思われた。
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