研究概要 |
1.各種in vitro抗癌剤感受性試験の結果の比較検討-Colony formation assay(CFS),colony volume assay(CVA)、^3H-thymidine(^3H-TdR)assayによって得られる感受性試験の結果を、尿路性器癌を対象として比較検討した。In vivo可継代尿路性器癌では、いづれの方法を用いて感受性試験は可能であり差はなかった。しかし手術時得られた尿路性器癌組織に対する感受性試験では^3H-TdR assayの方法感受性試験を行い得る割合がCFACVAより高かった(94.2%vs58.9%)。これら3つの方法で行った感受性試験の一致率に関してはCFAとCVAでは91.3%、CFAと^3H-TdR assayでは90.0%と極めて高かった。従って、尿路性器癌に対するin vitro感受性試験としては臨床的には^3H-TdR assayがより利点がないと考えられた。2.尿路性器癌に対する抗癌剤感受性試験-In vitroRAE癌剤感受性試験を30例の手術時得られた尿路性器癌組織を用い延べ93薬剤に関して行ったが、比較的感受性を認めた薬剤は19薬剤(20.4%)のみであった。そこで腎細胞癌を対象にinterferonの直接効果とさらに抗癌剤併用時の効果をin vitroで検討した。interferonはヒト腎細胞癌株(ACHN、SMKT-R-2)、ヌードマウス可継代腎細胞癌(RCC-3、RCC-4)、手術時得られたヒト腎細胞癌に対し直接的な増殖効果を示す場合が認められた。ACHN:SMKT-R-2を用いた抗癌剤とinterferonとの併用効果の検討ではVBL、MTXとの併用で相乗効果が出現することが、明らかとなった。3.In vitro抗癌剤感受性試験と臨床効果との比較はinterferonを投与した12例の腎細胞癌症例中4例で検討できた。4例ともin vitroでは感受性を認めなかったが、臨床効果もPD3例、NC1例と効果を認めなかった。4.Streptozotocinにより発癌させ可継代化したマウス腎細胞癌を用いて、INF、IL-2の効果をin vivoで検討したが、TNF、IL-2投与により25〜71%の腫瘍消失率が得られた。このモデルは、基礎的実験に有用と考えられた。
|