研究概要 |
腎尿路疾患では治療方針の決定、術後の経過観察にさいし、より正確に腎機能を把握しておくことが臨床上不可欠である。この目的に沿う検査法としては、非観血的で採尿,採血を要せず、かつ再現性の高い分腎機能検査法が望ましい。われわれはSPECTにより得られたTc-99m-DMSA腎横断々層イメージから腎容積を求め、この腎容積内の放射能量を投与量の百分率、すなわち腎摂取率として表す新しい分腎機能検査法を試みた。 装置は回転型ガンマ・カメラ(GE-Maxi Camera 400T)および付属コンピューター・システム,腎ファントムを使用した。 1.腎ファントムに既知量のTc-99m水溶液を入れ、計数-放射能校正曲線を作製した。2.新しく開発した吸収補正再構成アルゴリズムにより、SPECTの画像の再構成を行えるようにした。腎辺縁はしきい値法により決定したが、threshold levelは42%を使用した。3.Tc-99m-DMSAにより正常腎機能者の腎横断々層画像を作成し、各断面から腎辺縁の自動抽出,辺縁内面積,計数の算出を行うプログラムの開発,整備を行った。4.これらを用いて正常腎形態機能例の腎容積、腎摂取率を測定した。正常腎機能例の腎容積と腎摂取率は以下のごとくであった。正常例40腎の腎容積は225.5±28.5ml,男子では右腎220.4±23.3ml,左腎239.3±23.6ml,総腎459.7±44.6ml,女子では各々205.9±23.2ml,236.5±33.0ml,442.4±54.8mlであった。40腎の腎摂取率は27.2±2.9%,男子では右腎26.8±3.0%,左腎27.6±2.5%,総腎54.4±5.0%,女子ではおのおの26.4±2.6%,27.9±3.6%,54.4±5.7%であった。腎容積、腎摂取率には男女間、左右間に有意差は認められなかった。一部の各種腎疾患例について腎容積、腎摂取率を測定、Ccγ値との相関を検討したが腎摂取率と良好な相関(γ=0.8854)を示した。
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