研究概要 |
1.10例の内膜癌組識を採取した。酵素的細胞分散後6例で核型分析に成功した。うち5例で異数性細胞の出現をみた。これら5例に共通して観察された染色体変化は、1番染色体長腕部を含む3種の構造異常(1【P^-】、tdic(l;16)(g;21;24)、;(1g)マーカー)であった。これらのマーカー染色体の存在により、全ての内膜癌細胞では1gの部分的過剰の形成されていることが判明した。一方4例の内膜過形成細胞では正常核型が示されたため、1gを含む構造異常或いは部分的過剰が子宮内膜癌形成に何らかの役割を果していることが推測された。(Fugita,H,Wake.N,et al,Cancer Gnet.Cytogenet,18,283-293,1985). 2.tdic(l;16)(P21;q24)マーカーを保有するHecl細胞株及び正常核型を保有するHOUA95細胞株からそれぞれ6-チオグアニン抵抗性株の作製に成功した。 3.6-チオグアニン抵抗性HOUA95とチミジンギナーゼ欠損マウス線維芽細胞株(B82)との間で細胞融合に成功し、現在2クーロンを同定した。そのうちClone1には、ヒト4、5、6、7、8、11、14、15、16、17、18、21、X染色体の13種類計20本が融合細胞に保持されていることが判明した。それぞれの原腫瘍細胞、融合細胞の造腫瘍能を軟寒天培養、無胸腺マウス皮下移植法により評価した結果、融合細胞〉B82〉HOUA95の順であった。特に融合細胞はB82細胞の2倍以上の造腫瘍能を保持することが判明した。 以上のことから融合細胞に取り込まれた13種類のヒト染色体の中に、ヒト内膜癌細胞の造腫瘍能を規定する遺伝子が局在することが推測された。
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