Sistier chrocmatid exchanges(SCEs)を指標とし、アルコールの染色体レベルでのDNAへの影響を検討した。IVA700シリンジポンプを用い、C_3H/Heマウスの尾静脈より0.1ml/hour(50μg/g/hour)のBrduを17時間連続投与した。Brdu投与後1時間目に25%アルコールを経口投与し、2回目以後は5時間毎とした。Brdu投与後15時間目にコルセミドを0.01ml/g経腹投与した。母獣の場合は大腿骨の骨髄より、胎仔は肝臓を細切して染色体標本を作製した。SCEはPerry and Walf法に準じて染色し、顕微鏡下で算定した。 25%アルコール投与群における母獣のSCEは、投与量、投与回数が多くなるにしたがってSCEの増加傾向が見られた。また1回の投与量の多い方がtotal doseが同じでもSCEが高かった。特に2回投与群では投与量にしたがい、アルコール0.01ml/g…SCE=3.71±0.35/cell(Range1〜8)、0.015ml/g…SCE=4.55±0.39/cell(Range1〜9)0.02ml/g…SCE=5.24±0.37/cell(Range1〜9)以上のように=dose dependent responseが見られた。12日目の胎仔の肝臓におけるSCEはcontrolに比べ約2倍のSCEを示したが、母獣も2倍近いSCEを示したこと、さらに例数も少ないことから、胎仔のみに有意に高いとは断言できなかった。以上の結果より、アルコールの妊娠中の飲用はDNAレベルの影響がみられ、低濃度でも何らかの害があることが示唆されたことから、妊娠中の飲酒はつつしむべきと考えられる。今後SCEの明確な機序の解明とともにアルコールのより一層の検討が必要が考えられる。
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