研究課題/領域番号 |
61570796
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
丸尾 猛 神戸大, 医学部, 講師 (60135811)
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研究分担者 |
保科 真 神戸大学, 医学部, 助手 (30116248)
片山 和明 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (70112084)
望月 眞人 神戸大学, 医学部, 教授 (80030922)
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キーワード | トロホブラスト / 絨毛癌 / 子宮頸部扁平上皮癌 / プロゲステロン / Epidermal Grouth Factor(EGF) / dibutyryl cAMP / EGF receptor / myc oncogene product |
研究概要 |
絨毛由来ホルモンの正所性、異所性生成分泌の制御機構を解析するため、正常絨毛組織、絨毛癌組織、絨毛癌細胞株(Beu'o)、子宮頸部扁平上皮癌細胞株(Caski)の培養系で、ステロイド、dibutyrgl cAMP(dbcAMP),epidermal grouth factor(EGF)、sodium buryrateのhCG(α、β)生成分泌に及ぼす影響を検討した。 正常絨毛ではprogesterone添加によってトロホブラスト内hCG(【α_1】β)mRNAレベルの選択的減少とhCG、hCGαの選択的分泌低下を認めたが、絨毛癌組織ではprogesteroneによるhCG(【α_1】β)mRNA転写の抑制はみられず、正常トロホブラストの場合と異なり、progesteroneによるhCG生成分泌の抑制機構は成立しないことが明らかとなった。他方、hCG生成分泌刺激機構との関連では、dbcAMPとEGFは両者とも正常絨毛でのhCG(【α_1】β)生成分泌を促進し、EGFによるhCG分泌促進には24時間以上のlag time を要したのに対し、dbcAMPによる促進効果発現には長時間のlag timeを要しなかった。これらdbcAMPとEGFのhCG生成分泌促進効果は絨毛癌細胞において一層顕著となることを認めたが、Caski細胞のhCGβ-like substance生成分泌に対してはdbcAMPとEGFは全く刺激効果を持たなかった。このことより、hCG生成分泌の促進機構に関しては正常トロホブラストと絨毛癌トロホブラストの間で質的差異はないが、トロホブラストと非トホロブラスト性腫瘍癌細胞間でのhCG subunit生成分泌制御機構には大きな差異のあることが明らかとなった。またEGF receptor(EGF-R)の局在は初期絨毛のsyncytiofrophoblatst顕著であったのに対し、megc oncogene productの局在は【3^H】-thgnidine uptakeと類似のパターンでcytotrophoblastにおいて顕著であった。つまり胎盤においてEGFはトロホブラストの機能分化に関与するのに対してmgc oncogene productはトロホブラストの増殖に関与することが示唆された。
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