研究分担者 |
小関 聡 順天堂大学, 医学部産婦人科, 助手 (40178273)
古堅 善亮 順天堂大学, 医学部産婦人科, 助手 (20199433)
宇津野 栄 順天堂大学, 医学部産婦人科, 助手 (50176707)
江原 義郎 順天堂大学, 医学部中央電算機室, 講師 (80103894)
深間内 一孝 順天堂大学, 医学部産婦人科, 講師 (60138328)
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研究概要 |
妊婦が仰臥位の時, 子宮が収縮して硬くなると, その後面に接している母体の腹部大動脈ないし右側総腸骨動脈は強く圧迫されて右側下肢への血流が減少ないし完全に遮断されることが知られている. これは「ポセイロ効果」と呼ばれている. この現象によって分娩時に子宮-胎盤循環が障害され, 胎児は仮死状態に追い込まれることがあり, その病態生理の究明と臨床上妊産婦管理の対応等が求められている. 1.方法:今回の研究ではポセイロ効果を観察するために昭和60年度の科研費で購入した「未梢循環測定装置」を用いて妊産婦の趾端容積脈波を, また昭和61年度の科研費で購入した超音波血流計で大腿動脈の血流速度を無侵襲法で連続記録するとともに分娩監視装置からの胎児心拍数と陣痛等も同時に記録した. 一方データレコーダに収録した脈波信号はミニコンPDP11/60(DEC)を用いて波形解析が行なわれた. 2.成績:1)下肢の趾端容積脈波と血流速度波はよく同期しておこり, その波形は類似した拡張波を示した. 2)大腿動脈の血流速度を平均値でみると非妊婦と妊婦とも左右差はなく, その最高収縮期速度は非妊婦(39cm/sec)より妊婦(42cm/sec)の方がわずかに大きいが, 有意差はみられなかった. また拡張期速度は非妊婦(-10cm/sec)と妊婦(-13cm/sec)とも負で逆流していることがわかった. 上腕動脈ではこの逆流現象はみられなかった. 妊婦下肢の血流加速度は正負とも上腕動脈より大きかった. 3)末梢血管の抵抗を示す指標の一つであるpourcelot指数をみると, 妊婦と非妊婦とも大腿動脈の方が上腕動脈より大きかった. 4)胎盤が子宮の右側や後壁に付着している例で, 分娩中にポセイロ効果がみられた時胎児心拍数に遅発一過性徐脈が出現した. 5)今回は連続波ドプラ法を用いたが, 今後はパルス・ドプラ法により精度の高い血流速度の計測を行ないたい.
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