研究概要 |
1)慢性羊実験モデルを作成し、胎仔の脳波,心電図,心拍数,気管内圧,頸動脈圧を連続測定し、胎仔のSleeping Cycle(LVHF,HVLF Sleep)により、胎仔血圧,心拍数(時に一過性頻脈),呼吸様運動,胎動に量的、質的変化のあることが明僚となった。すなわち、脳内oxygenationの良好と考えられるLVHF Sleepでは、Amplifude≧40bpm,Duration≦20秒の鋭い一過性頻脈(AA-ACC)が特徴的であり、同時に呼吸様運動のバースト、一過性血圧上昇をみるのに対し、脳内oxygenationの低下すると考えられるHVLF Sleepでは、むしろ一過性除脈が多く、若い胎仔程出現しやすい。 2)胎児一過性頻脈及びVariabilityは胎児低酸素状態をみるのに重要とされている。羊胎仔の迷走神経を切断することによって、Variabilityの消失、一過性頻脈の総数の減少を認めた。しかし、LVHF Sleepに特徴的であるAA-ACCにはほとんど影響はなかった。この事より、羊胎仔の一過性頻脈の発生機序に迷走神経依存のものと上位中枢依存のものがあることが明らかとなった。 3)臨床的に、ヒト胎児心拍数上、inactivesleepでは、一過性除脈をみることが多く、場合によっては、False positive CSTとなることもある。胎児健康状態の判定に有用な胎動も、Sleeping cycle別に質的・量的な差を認め、activesleepではrolling Movementが特徴的であり、その大部分は、胎動に一致する一過性頻脈を認めた。 以上の事より、胎児のMotoractivityや循環動脈がSleeping cycleによって明らかな相異を認めるわけで、胎児の低酸素状態の示標とされている胎動,胎児心拍数の変化を判定する際には、このSleeping cycleを考慮する必要がある。
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