研究概要 |
35才の15年間原因不明不妊婦人で血中に高力価の精子不動化抗体を保有する患者末梢血よりリンパ球を分離し、洗浄精子を2:1に加え1%pokeweedmitogenとともに6日間前培養した。この抗原刺激リンパ球マウス骨髄腫株化細胞(NS-1)をpolylthylene glycol-3350の存在下に1:1の比率で細胞融合し、1.25% Methyl cellulose,20% Fetal calf serum,1.0% Hypoxanthine-aminopterin-thymidine(HAT),0.005% Lipopolysaccharide含有Iscoye'smodified Dulbecco's mediumのsemi-solid培地で1m1/dishの割り合いで14日間培養した。この間に総数246colonyの発育を認め、これをすべて回収してone colony/200μlの液性培地でさらに7日間培養したところ、146wellに細胞の増殖を認め、この内36wellの上清にHuman immunoglobulin(Ig)の産生を認めた。human Ig産生株の内2株は精子不動化作用を有していたのでこれをsequential dilution法により2回クローニングし、最終的に2つのヒト型精子不動化抗体産生hybridoma4A1-G5-C10及び4A4-E6-F10の樹立に成功した。両者の産生する単一クローン抗体は共にIgM(λ)で、強い精子不動化作用と強い精子凝集作用を有していた。他方、すでに確立していたhuman-mouse hybridoma(H6-3C4)の産生する単一クローン精子不動化抗体の対応抗原の性状分析を行った。H6-3C4抗体[IgM(λ)]の対応抗原は精漿由来の精子付着抗原で飽和硫安塩析による精漿蛋白のゲルろかではvoid分画に溶出される分子量67万以上の巨大な分子であったが、SDS-PAGE分画による抗体吸収実験及びWestern blottingによると分子量約20Kdの小分子抗原として認められた。RCAレクチンに親和性を示すところから、ムチン型糖鎖を含む糖蛋白質と考えられ、抗原性は精漿をlipase trypsinで処理しても変化しないが、過ヨウ素酸、neuramimidase処理で低下した。
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