研究概要 |
私共はローゼンタール管内で記録したラセン神経節細胞の活動電位による電場電位と蝸牛骨壁で記録したAPとを比較してAPはinitial seqmentで発生した最初のスパイクを紀録したものであると報告した。ここで問題なのは、initial seqmentで発生したスパイクはラセン神経節細胞により変調を受けるかということである。この問題を明らかにするためローゼンタール管内で記録したラセン神経節細胞の活動電位と頭蓋内で記録された蝸牛神経活動電位とを比較した。方法:モルモット(300〜500g)をネンブタール腹腔内麻酔下にgallaminで筋弛緩し人工呼吸器に接続した。露出した蝸牛の基底回転骨壁を用手にてドリルで径1mmの穴を開ける。茶色に透けて見えるローゼンタール管の骨壁に径約100muの小孔を開け一部を実験後に細織学的に確認している。ローゼンタール管内ラセン神経節細胞と頭蓋内蝸牛神経の活動電位の記録はFast Green FcFで飽和した3M KCIをいれたガラス管電極で行いoff-lineで解析した。自発放電頻度はPST Histogramより、Interspike IntervalHistogramから変動係数とHistogramの形を検討した。まとめと孝按:記録された45個のラセン神経節細胞の自発放電頻度は59.3spikes/秒(SD:23.5),変動係数は0.71(SD:0.19)であった。また記録された27個の蝸牛神経の自発放電頻度は68.7spikes/秒(SD:19.8),変動係数は0.81(SD:0.21)で自発放電頻度と変動係数は両者間において有意の差はなく,Histogramの形においても差はない。このことから末肖のラセン神経節細胞を研究することはAPの起原について重要な情報を与えてくれる。今後音刺激に対する活動電位を調べると共に他の回転についても研究し細胞内染色による細胞同定を行い報告したい。
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