研究概要 |
先に、研究代表者らは、持続時間の長さに対応する反応として、聴性脳幹反応(ABR)の陽性緩徐波成分を発見した。この成分はトーンピップでも明瞭に誘発され、種々の実験から、ある程度の周波数選択性を有することが明らかにされてきた。 本年度の研究計画は、 (1)動物実験により、純音マスキング法でチューニングカーブをつくり、ABR陽性緩徐波の周波数選択性を調べる。さらに、基本周波数と波形の対応を詳細に調べる。 (2)ヒトでABR陽性緩徐波を記録するのに必要な条件を模索する。すなわち、記録のための最適電極位置、濾波帯域や最適刺激頻度を決定する。 ことであった。 前者に関しては完全に実験を終了し、その結果は第31回日本オージオロジー学会に発表した。予想通り、陽性緩徐波の部分的な周波数選択性,純音聴力検査との不一致点などが明らかにされた。 後者に関しても、着々と実験は進行し、最適電極位置,濾波帯域や最適刺激頻度の検討は終了した。結局、頭頂-耳垂誘導、濾波帯域8〜4000Hz,刺激頻度9〜11/秒と決定した。 これら実験データを基に検査システムを構成し、これを使用して、ヒトで純音マスキング法によるチューニングカーブの製作を試みている。すでに15名の被検査で40以上のカーブをつくることに成功した。その結果は第32回日本オージオロジー学会に発表する予定である。
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