研究概要 |
モルモットの主たるDraining Veinである蝸牛小管静脈を閉塞し、その蝸牛血流量に及ぼす影響について検討した。Microsphereを注入し、蝸牛を摘出脱灰後Microsphereの数を蝸牛小管静脈を閉塞した方の耳と反対耳とを比較検討した。Microsphereのcountingにおいては、蝸牛の各回転別にlateral portion,spiral portion,central portionの3部分別に行った。lateral partionは蝸牛の外側壁で前庭階、ラセン靱帯、血管条、spiral portionは骨ラセン板、コルチ器領域、central portionは蝸牛軸がはいる。測定をおこなった結果、蝸牛小管静脈閉塞例は、全例反対耳よりMicrosphereの数が少なく蝸牛小管静脈閉塞は蝸牛血流を明らかに減少させることがわかった。なかでも蝸牛小管静脈閉塞により蝸牛肉直流電位(EP)が低下した例では、蝸牛血流量の低下はさらに著明で4分の1以下にまで低下していた。 蝸牛小管静脈閉塞によって主に蝸牛の基庭回転の外側壁の血流がもっとも障害をうけるという報告もあるが、今回の私達の実験では蝸牛の各回転とも血流量の減少を示し、またlateral spiralの3部分ともその血流量の低下の程度に有意差はなかった。 蝸牛小管静脈は蝸牛の主たるDraining Veinであるが、この静脈のみでは蝸牛血流は消失しないことが判明したが、これは他に蝸牛のDraining Veinが存在することを示している。その可能性は前庭小管静脈であると思われるが今後は前庭小管静脈の働きについても検討してみる予定である。
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