研究概要 |
1.昭和61年度研究経過と知見:急性内耳障害および急性前庭神経障害による臨床経過を明らかにする目的で、メニエール病,中耳炎内耳波及,めまいを伴う突発性難聴,前庭神経炎,ハント病,良性発作性頭位眩暈の患者プロトコールを集績した。めまいおよび平衡障害は、めまい発作後日時の経過とともに次第に軽減した。しかしその経過は初期症状の強さ、発症後ベット上安静から解放されるまでの期間、その後の運動の程度、患者の年齢により異ると推定された。50歳以下の患者では積極的な運動訓練をおこなわないで約1〜2週以内に自発性めまい、体動時の誘発性めまい感は、前庭神経炎を除いてほゞ消失した。高齢者および良性発作性頭位眩暈症患者では更に長期にわたってめまいが持続するものがあった。片側性末梢性前庭障害例では眼前の固定視標をみさせながら頭部を患耳側へ回転させると視標が動くと訴え、(jumbling現象)この現象の消失は中枢性代償獲得の指標となり得ることが判明した。各症例ごとにめまいの尺度化を試み、随伴する自律神経症状、注視,自発,頭位,頭位変換の各眼振,閉眼直立時重心動揺,足踏み検査、一点注視頭振り検査による平衡障害の結果をデータとしてコンピュータへ入力した。 2.めまいのリハビリテーション(運動訓練):ベット上安静期より自由行動までの時期を細分し、各時期に適した運動方法を計画した。すなわち頭位ならびに頭位変換刺激、一点注視下での頭部の回転、開眼継ぎ歩での前後歩行、閉眼足踏みを基本としその運動量を検討した。 3.今後の研究計画:上記運動訓練を負荷した症例の経過を、疾患、障害程度、年齢を出来るだけマッチさせた非運動負荷症例の経過とを比較し、運動訓練の意義を統計的に検討する。またストレッチ体操も深部知覚向上に有効と考え検討中である。
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