Hydroxyethyl methacrylateで培養の周囲をコーティングすることにより培養細胞の周囲への移動拡大を防ぎ、一定面積の安定した角膜内皮のシートを作成することに成功した。この角膜内皮シートを使用して角膜内皮の創傷治癒実験を行ったが、創傷の面積は5%以内の誤差範囲で作成することが出来、治癒過程における各測定時間毎の創傷面積も標準偏差が約7%と非常に安定した結果を得ることが出来た。このことにより、従来不可能であった一定面積の創傷の作成や、創傷治癒過程の経時的な観察が、我々の開発した角膜内皮培養法で可能となり、定量性に秀れた角膜内皮創傷治癒実験が行えることがわかった。 この実験系の最初の応用として、創傷の面積と治癒時間との関係を数式化して求めてみたが、こうした試みは従来の報告には無く、本法を用いて初めて可能と成った。 次に、fibronectin.laminin.EGF.5-FUなどの細胞の増殖や運動に影響を与える薬剤の角膜創傷治癒への影響を求めた。これらに関しては現在実験継続中であるが、従来の薬剤判定法と比べ、より信頼性の高い結果が得られると思われる。
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