研究概要 |
62年度の研究によって, 以下の成果が得られた. 1.家兎のERG・c波を直流記録し, 硝子体中あるいは, 静脈内にヨード酸ナトリウムあるいはアスパラギン酸ナトリウムを投与し, ERG・c波のうち, 網膜内層由来のslow PIII成分を単離して記録する方法を確立した. 2.単離したslow PIIIの明暗順応時の波形変化を経時的に記録して, c波の明暗順応時の波形変化と比較した結果, (1)c波とslow PIIIは両者ともに暗所視性および明所視性の二元的機構で構成される. (2)明・暗両所視機構の相互作用が, c波とslow PIIIの明暗順応経過にそれぞれ影響を及ぼしている. (3)c波振幅の変動は網膜常存電位には必ずしも平行あるいは依存しないことなどが明確となった. 3.暗順応下で, 家兎眼およびニワトリ眼から, 色光刺激によるc波を記録した結果, (1)家兎眼の色光c波は, その振幅は500mmの刺激による場合が最大で, このスペクトル特波は, 視紅の吸光度曲線に近似していた, (2)家兎の色光c波の頂点替時は600mm以上の長波長の刺激による場合に短縮した, (3)ニワトリ眼の色光c波の振幅は560〜580mmがピークで, そのスペクトル特性はiodopsinの吸光度特性に近似していた, (4)ニワトリ眼色光c波の頂点替時は全波長域で一定で, 家兎の長波長側での頂点替時と近似していた. 4.以上の結果から, c波の構成には, 杆体のみならず, 錐体あるいは杆体を障害する疾病の診断に応用できる道を開くものと思われる. 6.以上の成果は関連学会および学会誌に既に発表, あるいは発表予定である.
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