研究概要 |
口腔領域の節外性悪性リンパ腫は比較的、稀とされており、免疫組織化学的検討もほとんどなされていない。研究担当者の藤田・高橋は、東北大学医学部附属病院病理部と長崎大学医学部附属病院検査部病理における、1961〜1980年の非ホジキン悪性リンパ腫のうち、口腔節外性リンパ腫70例について免疫グロブリン,リゾチーム,S-100蛋白,【α_1】-アンチキモトリプシン,【α_1】-アンチトリプシン,トランスフェリン,フェリチンをPAP法で、Mono-clonal antibodies to human T cells(M【T_1】)をABC法で行った。 組織型は慮胞性が4例、びまん性が66例であり、小細胞型1例・中細胞型5例・混合型5例・大細胞型27例・リンパ芽球型6例・多形細胞型24例・バーキット型2例であった。免疫組織化学的には、B細胞性リンパ腫が21例、T細胞性リンパ腫が22例、True histiocytic lymphoma が13例、non-reactive が14例であった。T細胞性リンパ腫は、免疫組織学的にM【T_1】陽性であり、PAP法では、腫瘍組織内における非腫瘍性のS-100蛋白陽性細胞の増生が著しかった。T細胞性リンパ腫の組織型は、多形細胞型が12例と最も多く、これは従来の仕事に一致していたが、その他、リンパ芽球型が5例、大細胞型・混合型が2例づつ、そして中細胞型が1例であった。 以上のように今回の研究は、口腔領域の節外性悪性リンパ腫について、パラフィン切片を用いてT細胞性リンパ腫の直接的な確認のできた最初の仕事である。さらに、T細胞性リンパ腫でのS-100蛋白陽性細胞の高頻度の出現も特徴的であった。
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