研究概要 |
1.HSG細胞のDNA合成、倍加時間およびコロニー形成におよぼす効果を検索した。その結果、DEX(デキサメサゾン,合成グルココルチコイド)は【10^(-5)】M濃度を培地に添加することによって[【^3H】]-thymidineのとりこみを対照の45.5%に低下させ、倍加時間を対照(33.8±3.1)の1.5倍に延長させた。 2.HGS細胞を集めてホモゲナイズし、150,000×g、30分、遠心してcytosol画分とトリアムシノロン(合成グルココルチコイド)との結合量を測定し、Scatchard解析を行い、また競合的結合を行った。その結果、HSG細胞には解離定数6.5nM、結合定数57.8fmol/mg蛋白質(278fmol/mgDNA)の特異的なグルココルチコイドレセプターが見出れ、HSG細胞におよぼすグルココルチコイドの増殖抑制効果はレセプターを介する作用であることが示唆された。 3.DEX添加培地中で、HSG細胞は直径が増大し(【10^(-5)】Mで対照の1.29倍)、超微形態ではintracellular canaliculiが出現した。 4.HSG細胞をヌードマウスに移植し、腫瘍の形成率、腫瘍の増殖率および腫瘍の組織形態におよぼす効果を検索した。その結果、【10^4】個移植群の中でDEX投与マウスには腫瘍の形成はなかったが、DEX非投与マウスに腫瘍が形成された(1/4匹)。【10^6】個移植群ではDEX投与、非投与いずれにも100%腫瘍が形成た。Ovejera et al(1978)による換算腫瘍重量を求めるとDEX0.05μg/gおよび0.25μg/g投与マウスともにその増加率が対照マウスに比して低下していた(移植後6週目、有意差p<0.05)。最小自乗法により求めた増殖直線の傾きからlog2/傾きによって換算腫瘍重量の倍加時間を求めると、DEX非投与マウスで9.27日、0.05μg投与マウスで10.72日であった。組織学的検索では0.25μg/gDEX投与マウスの腫瘍組織にはadenoid-likeな像が多数認められた(4/4匹)。adenoid様構造の内腔には、コロイド鉄陽性、HID陰性、ムチカルミン陽性の上皮性粘液のシアロムチンが貯留していた。
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