研究概要 |
卵胞ホルモンである17B-エストラジオール(E2)の発癌性とそのメカニズムを培養シリアン・ハムスター胎児(SHE)細胞を用いて研究し以下結果を得た. 1.E_2の1〜10μg/mlの48時間処理でSHE細胞に発癌性のマーカーになる形態質転換が誘導された. 2.しかし, E2によってSHE細胞に遺伝子突然変異, 染色体異常, 姉妹染色分体交換やDNA傷害(不安期DNA合成より検出)は誘導されなかった. 3.これとは対照的に細胞に形態形質転換を誘導する同一処理条件で染色体の数的異常が誘導された. すなわちE2によって染色体の不分離が起こることがわかった. 4.これらの結果はこれまで我々が合成女性ホルモンであるジエチルスチルベストロールの発癌機構について報告してきた結果と類似していることを考え合せると, 染色体の数的異常の誘導が細胞の形質転換に重要な役割を担っていること, またエストロジェンの発癌機構に染色体の数的異常が関与していることを示唆している.
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