研究概要 |
歯周組織において, ヒト歯根膜線維芽細胞(HPLF)およびヒト歯槽骨骨芽細胞(HABC)のin vitroの細胞培養系の確立は, 歯周疾患病因の解析さらに咬合力の変化および矯正力等による歯周組織の改造現象の解析に有効な手段を与えるものと考えられる. そこで, 矯正治療時抜去によって得たヒト第1小臼歯から歯根膜を剥離し, 一方, 歯槽骨はコラゲナーゼで処理し, explantのoutgronthによってprimary cellとしてHPLFおよびHABCから継代培養を行い, 実験に用いた. またATCCよりヒト歯肉由来線維芽細胞(Gin-1)も比較検討のため用いた. p-nitrophenylphosphateを基質としてALPase活性はHPLF, HABCおよびGin-1で各々5.10±0.18, 6.00±0.30および0.26±0.11unitsとなり, 熱処理と阻害剤の効果からHPLFのALPaseはHABCのALPaseと類似の性質を示した. また, Ca^<2+>1-egulatcry hcrmoneである1.25(OH)_2D_3を5×10^<-9>M濃度で添加すると, ALPase活性は上昇され, 5〜7日目で最大の効果を示した. D_3のdose responseを検索すると, コントロールに対して1×10^<-9>Mで3.18倍, 5×10^<-9>Mで6.30倍および1×10^<-8>Mで8.11倍となりさらに, 各D_3濃度でのKm値は0.38mMと一定であり, 1.25(OH)_2D_3処理HPLFをトリプシン消化し, 0.1%NP-4.0と0.2mMMgCl_2を含む10mMTiis llcl pH7.4で抽出し, 5.15%SDS PAGEで分離し, β-Naphthyl acid phosphate/Fast blue BB saltでALPaseの活性染色を行った. 明らかに, 電気泳動上で2つのALPaseのタイプが確認された. すなわち細胞膜内構築タンパクとしての110KD ALPaseと細胞表層分布でしかもD_3依存性の120〜130KD ALPaseが得られた. 従って, ヒト歯根膜線維芽細胞はヒト歯肉線維芽細胞と明らかに異なり, osteoblasticな応答をする細胞と考えられた.
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